今さら気付いた・・小さな? or 大きな秘密?。
純正採用されているYDLSキャブについて、メーカーも想定していなかったであろう、
暖気後再始動とオイル下がりについて書いてみます。
実はこのキャブと出会ったのは、1980年にHONDA R&D(現HRC)に就職した直後に、解析に使用するコンピューターの習熟用にと、初めて手渡されたのがこのキャブ。
勿論、見るもの触るのも初めて。後に暖気後の再スタート(Hot Restart)の悪さや、40年経った今初めて知った、INバルブ・ステムシールのオイル下がりが起こることなど予測もしていなかった。
率直な感想は・・YAMAHAやる~、MJやSJは1個でもキャブの役目に支障は無いんだ!!と。
だが、再始動の悪さがキャブ構造と、排気量に影響を及ぼしているのを知ったのは、2000年代に入って自分が所有する様になってからのこと。
余談だが、このSRXと言う車両、まさかまさかであるが、自分の乗りたいバイクのリストワーストワンでした。
と言うのもNR500の時代に始動性の悪さに泣かされた経験があったので、迷わず選んだのが同時期に発売されたVT250だった。結局はNRもSRXも始動性の悪さは、同じ原因だったと後で解る。
話は戻って、1JL400ccで余り聞かない再始動の悪さが、何故に1JK600ccになって問題になるのか。
それもキック仕様600ccだけの問題なのかを解説します・・。
答えは、キャブの構造、
すなわち ①Pri.側にしか存在しないSJとSlow ポート。②排気量の違いにより、アイドル開度が違う。
1個のキャブで、排気量違いのエンジンをアイドルさせるには、600ccの方が僅かながら多くの空気を必要とします。従って、Pri.側のキャブ開度が大きくなり、負圧が小さくなるのに伴って、Slow ポートから離れるので、燃料が吸い出されなくなります。ですから、被っている訳でも無いのに再始動が困難になる。対して、冷間時は躊躇わずにチョークを引くことが出来るので、濃い状態からのエンジン始動になりますので、比較的容易である。
*此処で気を付けて欲しいのは・・、自分もそうですが、交差点などで停止時に、「エンストしたらどうしよう!」とアイドル回転数を高めにするとなおさらに掛かりにくく成ります。そう、Slowポートから更に離れて、燃料が出ない。
: 対処法は、スロットルアジャスターを戻して、開度を小さくしてから、再トライすると、あっけなく始動出来ます。

次に、オイル下がりの問題。
キャブを裏から見ると、Sec.側のバタフライバルブが汚れていることが多いのですが、画像で見ると左側のバタフライは全閉。対して、右側のピストン(見えないわ~)はスローポートの上で、1ミリほど開いています。
この状態で、常にアグレッシブな走り方をしていればSec.側も開きますが、市内走行が多かったり長い下り坂の時のSec.バルブは常に閉じて、Pri.側だけの空気供給でエンジンが回る事になります。
ここで、問題が・・・。シリンダーは1つなのにポートが2つ有るので、閉じた方も強烈な負圧が発生します。すると、どこかに吸うところが無いか探しますので、結果的にバルブステム・ガイドシールが狙われて、ここからエンジンオイルを吸い出すことになりますので、オイル下がりを起こすのはSec.側のインレットとなります。
*ツインキャブにすれば、左右の条件が揃いますので、暖気後の始動不良も、オイル下がりも緩和されます。ご参考に。m(__)m