昨今、お客様からの問い合わせに、内圧コントロールバルブを取り付けた際に発生するデメリットについての、誤解や、偏った思い込みによるご質問が含まれることが増えてきました。
当ブログをお読み頂いている方、現在NAGバルブの装着をご検討中の方、すでに装着していただいたいる方、また性能や効果に対し、懐疑的な見方をされている方にまで、広く知っていただきたいことを書かせていただきます。
特にご検討中の方は、ご購入前に「内圧コントロールバルブ」の効果や仕組みに至るまで、ネット・SNS上のレビュー等を広くお読みになることで、様々な感想や見解に触れていらっしゃると思います。
その情報の中に、誤解を招きかねない内容・明らかに間違った(偏った)見解を掲載されていることも見受けられるため、あら探しのようなことは本当はしたくないのですが、当社としては看過できない事態のため、是非ご一読下さいますようお願いいたします。
「内圧コントロールバルブ」に対し懐疑的なイメージを持ってしまったユーザーさんの多くが参考にしている記事も、自動車やバイクの仕組みに関する間違った知識に基づき書かれたものではないと認識しておりますが、中には極端に過酷な条件を与えた結果、起こった(起こりうる)デメリットについて書かれた記事については、ミスリードを誘うこともあると考えており、間違って広がった認識によって特に多かった質問を例として取り上げ、この場ではっきりと否定させて頂きます。
一部のブログ記事の影響か、お問い合わせの中に、内圧コントロールバルブを取り付けるとエンジン内でキャビテーションが起きるのではないかとのご質問を頂くことがあります。
キャビテーションが発生することを懸念されているということは、バルブがクランクケース内を負圧にするような、極端なイメージを持たれているのかなと感じますが、発生するブローバイガス量を上回るような、強力な排出機能が備わっているわけではありません。
NAGバルブは単純なワンウェイ構造で、一度排出したガスをケース内に戻さないようにして、常に定圧(大気圧)に保つことが目的の製品です。装着後にキャビテーションのリスクが高くなるということはありません。
ワンウェイバルブが排出側に作動していると言うことは、マイナス圧になっていないと言う証でもあります。逆に、マイナス圧の条件下で常にワンウェイバルブが作動するのであれば、「吸気バルブ」が必要となってしまうといった、本末転倒な事態になってしまうことがご想像いただけるかと思います。
参考資料:油圧低下に関する関連ブログ:2010-11-06
潤滑方法とケース内圧・油圧測定。 http://nagsed.sblo.jp/article/49615600.html
次に、掃気機能低下がオイルの劣化に繋がるのでは、という質問についても多くいただきますが、これははPCVバルブの不調が原因となっています。
不調により新鮮な空気を取り込みにくくなると、ブローバイガスの排出がされにくくなり、エンジンオイルに混入し劣化が引き起こされるのですが、これはNAGバルブ装着の有無とは関係ありません。(後述*1)
このように解説を加えれば、誤解している方にも、考えを改めて頂けると信じます。
内圧コントロールバルブに懐疑的な考えをお持ち方は、推測や過去に過酷な条件下で行われたテスト結果を持って、「減圧はエンジンに悪影響を及ぼす悪だ」とブログで断言しています。
また、このような記事を読んだであろう方々からの問い合わせが、バルブ発売直後から多いのも事実です。おそらく、「減圧」の言葉が、過度なマイナス圧を連想させ、思い違いを生んでいるのだと推測されます。
今日たまたま、他の検索をしていて、2009年ごろ(2輪用量産型NAGバルブ誕生直後)中日本自動車短大様の協力によって、様々な検証を行った時の論文を発掘しました。ご興味ある方は、目を通して頂ければ幸いです。
https://nakanihon.ac.jp/wp-content/themes/nac/doc/college/ronso/nac_ronso_039-04.pdf
このほかに、当時の新型車輌で確認した、第二弾の発表もされています。
https://nakanihon.ac.jp/nacinfo/college/ronso
(*1)4輪用に関して言えば、既存のPCVバルブ(ポジティブクランクケースベンチレーションバルブ(Positive Crankcase Ventilation Valve・2010年以降に生産されたエンジン全機種に標準装備)の機能は活かしているので、「エンジン内が換気されずに、オイル劣化を招く等」の指摘は当たりません。
指摘している方は、開発当時の2輪資料を基にされているか、この機構を知らないと思われますが、PCVバルブがある以上、排出側へのワンウェイ弁が引き込まれて開くことができないのです。(PCVバルブで一方的に吸うと、過度なマイナス圧になるので、4輪エンジンは、クランクケースに空気を供給していて、そのバルブの空気供給口はブローバイホースです。
*この吸気口にバルブを設けるには、双方向への流れが必要になります。
通路の説明イラストはこちら。
https://gigaplus.makeshop.jp/NAGSEDshop/pdfs/superb_forceA.pdf
NAGバルブの場合、エンジン始動から排出側にバルブが開くのは、「マイナス圧に移行しない」という証でもあるので、NAGバルブには当てはまりません。鵜呑みにしないでいただきたいと思います。
内圧コントロールバルブに否定的な意見を述べる人の多くは、4輪エンジンのPCVバルブをそのままブローバイホースに割り込ませ代用したり、KTM純正バルブを流用したりする場合が多いのも事実としてあげておきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
株式会社ナグ・エスイーディ
社員一同
目次